君の名は。で日本全国に名をとどろかせた映画監督「新海誠」。
「君の名は」に次ぐ映画として2019年7月21日に「天気の子」を公開。
その、天気の子が公開されてから数日たって7月29日に見てきました!!
新海誠監督の表現する世界観に飲み込まれながら、あっという間の2時間を劇場で見てきました。
本記事では、主人公ほだか(帆高)の決断に注目して、考察をしていきます。
天気の子のネタバレを含みますので、本記事を読む前に天気の子をみておくことをお勧めします。
ネタバレなしの見どころをまとめた記事はこちらになります。
目次
起 出会い
物語の始まりでは、帆高の3つの決断が今後のストーリーに影響を及ぼしていると考えました。
- 命の恩人にご飯奢る
- 小包を拾う
- ファーストフード店に通う
命の恩人にご飯を奢る
大雨の中、船の上ではしゃぐ帆高。その後、滝のような雨が降り、海に流されそうになるところを、須賀圭介に助けられる。命を助けられた帆高は命の恩人(須賀圭介)に飯とビールを奢る(たかられる)。船が東京についたとき、彼から名刺を渡される。「困ってるんだろ?なにかあったら連絡してくれ」。ここで名刺をもらうことで、後に須賀圭介を頼ることになる伏線になっています。
フェリーという空間だったからこそ、命の恩人(須賀圭介)にご飯を奢ることが出来たと思います。
ただ、そうは言っても、命の恩人だからといって何でもしますとは言えませんし、ご飯を奢るので私の命を助けたことをチャラにしてくださいとも言えないです。
私なら、ありがとうございますと感謝の気持ちを伝えるだけで終わるかもしれません。
それに対し、帆高は須賀さんにご飯を奢るという決断をしたのです。
まあ、半分たかられているような感じでしたが、この決断が圭介さんの名刺をもらうことにつながったのではないかと考えます。
他には、帆高の行き場のなさそうな雰囲気を感じたり、過去の自分に似ていたから力になりたいという気持ちがわいたからなども考えられます。
過去の自分と似ているということについて、ストーリー中盤で圭介さんのアシスタントである夏美が、圭介の家出して東京に来た過去について語っています。
小包を拾う
ネットカフェで寝泊まりするも金が付き、バイトを探したが、身分証明書がないため働かせてもらえない。お金がないので、東京の街を放浪する。雨が降っているので屋根のある、怪しげなお店の入り口で雨宿り兼睡眠。突如現れる怖いお兄さんにぶっ飛ばされる。 ごみ箱と一緒にぶっ飛ばされたが、その中に小包があり、とりあえず回収する。 後に、それが拳銃だと発覚し、計2回発泡することになります。
ここでの帆高の決断は、小包を拾うことです。
ここで小包を拾ったことにより、ストーリー後半まで武器として拳銃を使うことが出来ます。
拳銃を持つことにより、帆高はある種の無敵感をまとったのではないかと思います。
これは、筋トレをすることでうざいやつを黙らせるといったパワー理論のように、拳銃という武器を所持することにより、自分が他者よりも強いと感じ、自信を持った行動をすることにつながっていくと考えられます。
この無敵感が、ストーリー後半にある強気の決断力に影響しているのではないかと思います。
ファーストフード店に通う
バイトも見つからずお金も尽きていた帆高は小包を拾った後、ファストフード店でコーヒーを飲んでいました。それを見かねた女性店員にハンバーガーを恵んでもらいました。女性店員曰く、帆高が何回か来ていていつもコーヒーしか飲まないのを見てお金がないことを察したらしいです。この女性店員は後に100%の晴れ女といわれる天野陽菜さんです。
帆高のファーストフード店へ行く決断がなければ陽菜さんに出会うこともなかったので、物語の中で重要な決断だと思いました。
もし、陽菜さんのいるファーストフード店に通っていなければ、ただの家出少年の物語になっていますね。
そしたら、映画のタイトルも「天気の子」ではなく、「家出の子」になりますかね。
承 天気の子爆誕
起承転結の承では、順風満帆な状態が描かれています。
晴れ女ビジネスが大ヒットして、うはうはですね。
異常気象で雨が止まないという問題があり、その問題に天気を変えることで解決し、お金を得るというビジネスです。
いつか、天気を自由に変えられる時代が来るのでしょうか。夢が広がります。
- 拳銃で発砲
- 晴れ女ビジネス立ち上げ
- 指輪の購入
拳銃で発砲
ある日、帆高はハンバーガーを恵んでくれた少女が、以前帆高をぶっ飛ばした男があやしいお店に連れていこうとしている場面を目撃します。ハンバーガーを恵んでくれたあの子を助けたいという思いで男から少女を連れ出しましたが、すぐ男に捕まりました。男は帆高を痛めつけますが、帆高は所持していた拳銃で威嚇射撃をしました。その後少女は帆高を連れ出し廃ビルに逃げ込みました。
手に入れた銃をつかい発砲をする決断をしました。
日本の法律的には武器の所持の時点でアウトなんですが、ここでは武器の使用もしています。
発砲の理由は男に殴られていることから、自己防衛でしょう。
ただ、最初は相手を撃とうと悩むようにも見えましたが、威嚇射撃で終わらせたのは良い判断だと思います。
私が帆高の立場なら、相手のパンチから身を守るので精一杯で銃を出すこともできないと思います。
帆高はすげえ
晴れ女ビジネスの立ち上げ
拳銃発砲の後いろいろあって、帆高と陽菜さんはお金稼ぎのために、天気を変えるビジネスを始めます。少しでも稼げたらいいくらいの気持ちで始めた天気を変えるビジネスは次第に人気となり、依頼が殺到します。ここでの印象的なセリフは「ねえ、今から晴れるよ」ですね。こんなこと言われてみたいものですね。
お金を稼ぐという目的を達成するために、新しいビジネスを始める決断は、天才と言っていいのではないかと思います。
天気を晴れにすることでお金をもらおうという発想と、そのために自作でサイトの立ち上げもするので、帆高の決断と行動力にはあっぱれです。
天気を晴れにする値段も3400円と超リーズナブルな価格です。
というか、安すぎます。
結婚式を絶対晴れにするプランあります(約1,700万円也)では結婚式を絶対晴れにするプランとして約1700万円でビジネスを行っているそうです。
なので、天気を晴れにする価格は安くても数百から数千万円にしてもいいのではないでしょうか。
どうせ、東京は異常気象でずっと雨なんですから。
指輪の購入
帆高は誕生日が近くなった陽菜のためにプレゼントを買おうと思い立ちます。アシスタントの夏美さんや陽菜の弟の凪にどんなプレゼントがいいかを聞いたのち、アクセサリーを買うことに決めます。アクセサリーを買うシーンがあったのですが、そこで対応した店員さんは、大ヒット映画「君の名は。」のヒロインであった三葉さんが対応したのです。まさかの競演があるのが印象的ですね。
帆高にとっては一緒にお金を稼ぐビジネスパートナーであり、年齢の近い異性である陽菜。
そんな陽菜に誕生日プレゼントを買うという決断はよかったですね。
まあ、いままでの場面から帆高は陽菜に好意を持っている(好き)ことがなんとなくわかりますけどね。
もし、買わなかったら映画が終わるまで私を含めた観客は、2人の関係について終始モヤモヤしてしまいますね。
それにしても、異性の誕生日だからと誕生日プレゼントを渡せるだけで、すごいですし、プレゼントが「指輪」というのもすごい。ダブルパンチです。
女性に指輪をプレゼントをするって凄い。
転 帆高逃走する
いままでの話から展開が変わり、帆高、陽菜、凪の3人は警察(大人)に追われます。
逃げて逃げて逃げた後に、陽菜が空と繋がっていることを知らされる、物語の謎が展開していく場面です。
ここでは、陽菜の話がメインになるので、帆高の決断は逃げる隠れると言ったところです。
- 逃げる
- 晴れてほしい
陽菜と逃げることを決める
家出をしていた帆高が両親から捜索願が出ていること、拳銃で発砲している場面が監視カメラに写っていることから東京の警察に追われることになりました。警察は、須賀さんの事務所や陽菜の家にまで捜索しに来ます。須賀さんから逃げるよう促された帆高は陽菜、凪
と一緒に逃げることを決めます。
ここで帆高は陽菜と凪と一緒に警察から逃げることを決断します。
逃げた理由として、常識から考えると、「拳銃の所持、発砲」と、「親の元に帰りたくない」の2つでしょうか。
しかし、帆高はその理由よりも、陽菜と一緒に居たかったから逃亡を選んだのではないでしょうか。
だって、帆高は陽菜のこと好きなんだもん。
そんなに深い理由があったわけではなく、ノリで逃走したんだと思いますね。
大人(警察)と子供の思考の違いや、生きている世界観の違いが描かれているような気がします。
大人と子供の世界観の違いが描かれている
晴れてほしいと思った
警察からの逃走の末、帆高達はとあるホテルに身を隠すことに成功します。その夜、帆高は、陽菜に指輪をプレゼントします。そこで陽菜から自分が人柱であること、自分がいなくなれば天気が晴れると告げられます。驚きを隠せない帆高に「雨が止んで、晴れてほしいか」と聞きます。帆高は「そりゃあ晴れてほしいよ」と言います。夜が明けると、陽菜がいなくなっており、東京は晴天になっていました。
帆高は「晴れてほしい」と陽菜に伝えたことで、陽菜は自分の命、存在と引き換えに天気を元(晴れ)に戻しました。
これは、陽菜も帆高が好きだったことの表れではないでしょうか。
異常気象の原因は陽菜自身だと理解したけれど、このおかしい天気を元に戻すには自分が空に行かなくてはいけない。
すると帆高と会えなくなってしまう。
でも、自分の好きな人(帆高)が晴れを望むなら、その他大勢の人が晴れを望むなら、1人の犠牲(陽菜自信)で東京の天気が治るならば、空へ行こうと決めたのかな。
そんな気持ちであろう陽菜に「晴れてほしい」と言ったことは間違っていたのか?
いや、間違いではないと思う。
帆高に限らず、ほとんどの人は雨が止んでほしいと願っていた。
それはお天気ビジネスをやっていた時にも、お客さんから「晴れてほしい」と何回も言われていたことからもわかる。
この場面では、何を言おうと陽菜は空に行ってしまうのではないかな。
ここは物語の分岐点ではなく、陽菜が空にいくことは揺るぎのない確定演出であると考える。
結 予想外の結末
いままでのフラグと言うフラグをすべて回収し、涙の結末を迎えます。
誰もが予想しなかった結末を。
- 陽菜を助ける
- 天気は狂ったままでいい
- 陽菜に会いに行く
ひなを助けに行く(発砲2回目)
ホテルから陽菜が消えた後、陽菜が空にいることを確信しましたが、警察により警察署に連れられてしまいます。しかし、陽菜を助けるために、警察官の隙を突き脱走します。脱走して間もなく夏美さんがバイクで帆高の脱走を手助けします。目的地の廃ビルにつくと須賀さんがいて、帆高の説得を試みます。しかし、帆高の意思の強さが、威嚇射撃に表れ、先へ行かせます。
須賀さんは「一人の犠牲でおかしな天気が元に戻ればいいじゃないか」といいます。
それに対し、帆高はその一人(陽菜)を助けたい。
ただそれだけだったと思います。
ずっと雨が降ろうが、陽菜が戻ってきてくれればそれでいいという意思の表れを感じました。
これは、社会の同調圧力(大人の言い分)に屈せず、自分の信じる道(直感)を進むと言ったことを表しているのだろう。
周りの意見は周りの意見。
自分の信じることをやればいいといったメッセージが含まれているかな。
天気は狂ったままでいい
何とかして廃ビルの屋上にたどり着いた帆高は、屋上の祠で強く祈りました。すると、天空の世界に飛び、陽菜を見つけます。しかし、陽菜は自分が地上に戻るとまたおかしな天気になってしまうと言い、帰るのを拒みます。そんな陽菜に、帆高は「天気なんて狂ったままでいい」といい、陽菜の手を取り、地上へ戻ります。
「天気なんて狂ったままでいい」と帆高は言いました。
帆高からしたら、おかしな天気がずっと続こうが、陽菜がいればそれでいい。
陽菜は人柱なんかではなく、社会にいいように使われる「天気の子」ではなく、たった1人の普通の少女であると。
そんな意味があるのではないでしょうか。
3年後にひなに会いに行く
帆高が警察に逮捕されてから3年後。東京はいまだに雨が降り続け、ほとんど水没してしまっていました。3年ぶりに東京に戻った帆高は、陽菜に会いに行きます。そして一緒に生きていくらしいです。
帆高が陽菜に会いに行く。
これはもうハッピーエンドですね。
ただ、東京は海に沈みましたね。
まあ、元に戻っただけだから
気にすることはないよね。
帆高の決断からみる天気の子
映画「天気の子」では主人公帆高のした決断11個についてそれぞれ考察しました。
それを踏まえ、新海誠監督が「天気の子」という映画で描きたかった、伝えたかったことは、
人によっては考え方も様々で、生き方も様々だ。
それが正しいかどうかはその人にしかわからなくて、他者がとやかく言えることではない。
自分の信じる道を進めばいい。
といったことでしょうか。
映画としては、面白いストーリーで綺麗でリアルな絵、映画にぴったりの音楽で、とても満足できました。
なので、最大評価の
まだ見られていないあなたは劇場で見てください。